20080429

落語一年生日記(その5)

2008年4月27日 / 道新ホール

「 春・花形特撰落語会 」

  林家いっ平    「荒茶
  三遊亭白鳥    「マキシム・ド・呑兵衛
  (仲入)
  柳家三三     「雛鍔
  柳家喬太郎    「竹の水仙




いっ平さん。
個人的な好みの問題ですが、
テレビの臭いのするマクラは好きじゃない。

白鳥さん。
ジャージっぽい着物で登場。
都会と田舎の対比を笑う新作落語だったのだけど
たぶん札幌は、東京でもなく、ど田舎でもなく、
どっちつかずな都市なものだから
あんまりハマらなかった感じがする。


仲入りのとき、隣の席の男が
手帳を取り出して書きつけていた言葉。
「 すべてにおいて中途半端 」
えーっ!?
いっ平さんのこと? 白鳥さんのこと?

どうも落語会というのは、他のステージアートと比べて
客席の空気がすっきりしないところがある。
と、思う。毎回、毎回。
客席の温度差がやけに大きくて、
しかも熱力学第二法則に逆らうかのように
その温度差はめったなことでは平衡していかない。

つまり、こんな感じ。
使い古されたダジャレでも、誰かをコバカにした内輪ネタでも、
なんでもかんでも大爆笑する客がいる一方で、
眉間にしわを寄せて、斜に構え、おおむね鼻で笑う程度で
芸の出来不出来を評価する視線の客がいる。
その温度差が、落語会の客席の空気になっていて
僕はどうもむずむずとした居心地の悪さを覚える。毎回、毎回。


三三さん。
面白く聞いていたような気がするのだけど
時間が経ってみると印象が薄い。
よくも、悪くも、あまり覚えてない。あれ?
いや、そのあとの印象が強すぎたせいか。

喬太郎さん。きょんきょん。
圧倒的だった。
マクラからサゲまで、ほとんど笑っていた。
笑っていないときは、ちょっとホロっとした。
小難しいこと一切なしで、完全に素直な状態で
どっぷり楽しめた。

喬太郎さんは、顔がいい。表情だけでもかなり笑える。
間がいい。へたな間だと笑えないような小ネタさえ、笑える。
声色もいい。登場人物のキャラが立っていて、存在感がある。
ちょっとしんみり聞かせるところ、派手なアクションを見せるところ、
声の大小、緩急、硬軟、メリハリもよい。
あと、なんか、なんとなく感じるスタンスがいい。
ちょっと皮肉な感じのする、ちょっとさがいい。皮肉すぎない。
また聞きたい。
もっと聞きたい。

喬太郎さんが話しているあいだは
さっき書いたような「客席の温度差」をまったく感じなかった。
それが、客席全体が圧倒されて平衡状態になっていたということなのか、
僕自身が圧倒されていて余計なことに気が散らなかったからなのか、
わからないけれど。

喬太郎さんの落語、また聞きたいなーとばかり思う。
でも、さあ、5月は志の輔さん、談春さん、立川流の2連発。
楽しみである。