今日、こんなニュースがあった。
| 【 53歳男、放置自転車で600キロ 】
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| 島根県警浜田署は27日、放置自転車を乗り回していたとして、
| 占有離脱物横領の疑いで住所不定、無職西島秀憲容疑者(53)を逮捕した。
| 西島容疑者は和歌山市内で見つけた自転車で、野宿をしながら
| 滋賀、京都、兵庫、鳥取を経て島根に来たと説明。
| 同署は約2週間で600キロ以上走ったとみている。
| 西島容疑者は「仕事を探すため九州に向かっていた」と供述、
| 逮捕時の所持金は545円だったという。
| 調べでは、西島容疑者は今月10日ごろ、
| 和歌山市の路上に放置されていた
| 中古自転車(約3000円相当)を横領した疑い。
| 所有者から盗難の被害届が出ていた。
| 27日午前、浜田署員が浜田市の国道9号を走行中の西島容疑者を発見、
| 職務質問して犯行が発覚した。
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| (日刊スポーツ、2007年8月28日)
和歌山から、島根まで、走っちゃいましたか。
2週間で600キロ、そんなに長くはないかな。
途中に峠とかあったかな。
さて、えー、なにからツッコミ入れていいのやら。
まずですね、和歌山から仕事を探しにいく先が
大阪でもなく、名古屋でもなく、九州であったことは
まあ、とりあえず、そういう選択肢もあろうかと思います。
でも、なぜに、あえて、
山陽ではなく、山陰を通っていこうと思ったのか。
岡山、広島ではなく、鳥取、島根を選んだのは、どうしてだろう。
このへん、非常に気になる。
僕が島根県警浜田署の署員だったなら、そこはきっちり聴取します。
たぶん何かわけがあります。
ところで、日刊スポーツの記者さんは
「放置されていた中古自転車(約3000円相当)」と
さらりと書いてますが、これ、どういうことでしょうね。
いや、つまり、ここで僕が全世界に問いかけたいことは
「 自転車は、いつ、中古自転車になるのか 」
という深遠な問題です。
もし、あなたが自分の自転車をリサイクルショップに売ったとしたら
その自転車は売られた瞬間に「中古自転車」になる。
これは、おそらく、ご賛同いただけるものと確信するところでございますが。
しかし、たとえば、
お兄ちゃんの自転車が「おさがり」として弟に譲渡された場合、
その自転車は「中古自転車」なのか?
どうだろう。微妙じゃないか。かなり微妙じゃないか。
つまり、だ。
日刊スポーツの記者さんは、どうやって判断したのか。
その「放置自転車」が「中古自転車」であったことを、いかにして知ったのか。
まさか、まさか、すべての「放置自転車」が「中古自転車」だと、
そんな大胆な主張をしているわけではなかろう。
きっとプロの記者だからできる取材で、
それが「中古自転車」だと突き止めたのだろう。
でも、いったい、どうやって?
僕は今すぐにも日刊スポーツに電話をかけて、そのへん尋ねてみたい。
でも、やめておこう。
ニュースソースはヒミツにするのが、プロの記者ってものだからね。
その自転車を3000円と鑑定をしたのが誰なのかってことさえ、
きっと教えてもらえないだろう・・
「浜田署員が浜田市の国道9号を走行中の西島容疑者を発見、
職務質問して犯行が発覚した」
っていうのも、わかんないですね。
浜田署のおまわりさんは、国道9号を走る西島さんに、何を感じたのかなあ。
なんにしても、所持金545円。
たとえここで捕まらなかったとしても
西島さんは九州まで辿り着けなかったことでしょう。
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で、ふと、前に読んだ別のニュースのことを思い出した。
| 【 盗んだ自転車で猛暑の中300キロ 】
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| 約1500キロ離れた北海道へ帰るため大阪で自転車を盗んだとして、
| 静岡県警牧之原署は18日、窃盗容疑で北海道北見市の
| 北見工業大3年の男(20)を逮捕した。
| 同容疑者は
| 「大阪であったコンサートの帰りの交通費を節約したかった」と供述。
| 40・9度と国内最高気温が74年ぶりに更新された16日をはさんだ5日間、
| 猛暑の中を静岡県まで300キロ以上走ってきたとみられる。
| 牧之原署などの調べでは、男は9日に北海道の女満別空港から空路大阪入り。
| 大阪市此花区の舞洲に特設された会場で11、12の両日に開かれた
| 野外フェスティバル「サマーソニック07大阪」を堪能した。
| 翌13日午前10時半ごろ、大阪市北区の路上に止めてあった
| 同市の女子高校生(16)の
| “ママチャリ”1台(7000円相当)を盗んで逃走。
| ホテルを利用したり、先輩の家に泊まるなどしながら
| 大阪から東へ向かい、
| 奈良、三重両県の山間部などを走りながら愛知県を経て、
| 5日間かけ静岡県に入った。
| 同県では国道1号バイパスを走っていたが、
| 途中で道を間違えて国道150号に入り、牧之原市へ。
| 17日午後10時半ごろ、同市のコインランドリーに
| 白のランニングシャツ、トランクス姿でいたところを、
| 不審に思った同署員が職務質問。
| 自転車の防犯登録シールは削られていたが、
| 車体番号から盗難届が出ている自転車であることが判明。
| 問いつめられた男は、容疑を認めたという。
| 調べに対し、同容疑者は
| 「北海道の自宅に帰るため、とりあえず東京まで戻ろうと思った」と供述。
| 自転車を盗んだことについては「お金がもったいなかった」。
| 大阪には飛行機で来たという。
| 大阪を出たときの所持金は約1万7000円で、
| 逮捕時は約1万2000円。
| 自転車販売店によると、
| 自転車のタイヤは暑い時でも約4000キロは走行可能という。
| 同容疑者が見た野外フェスは、
| 土屋アンナ、木村カエラ、アヴリル・ラヴィーン、シンディ・ローパーら
| 国内外の大物アーティスト数十人が参加。
| 2日間通しチケットの価格は2万4500円だった。
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| (スポニチ、2007年8月19日)
お、こっちの記事は容疑者の氏名を伏せてますね。
さっきの記事は放置自転車を盗ったので「占有離脱物横領」、
こっちは女子高校生(16)の自転車を盗ったので「窃盗」。
あえてどちらかと言えば「窃盗」のほうがタチ悪いし、
名前をさらすなら「窃盗」じゃないのか、とも思いますが
そのへんは日刊スポーツとスポニチの方針の違いかもしれません。
サマソニからの帰り道ってのが、こう、いまいちです。
九州まで仕事を探しにいくのとは、哀愁が違う。
野宿じゃないし。
所持金は5ケタだし。
こっちの物語に哀愁ってものがありません。
窃盗した自転車も「7000円相当」と、
西島さんが横領した自転車より3000円も高い。
マシンの差が出たか、若さがものを言ったのか
5日間で300キロと、西島さんよりはちょっと速い。
しかし、いくら哀愁がないからと言って
「同市の女子高校生(16)の“ママチャリ”1台(7000円相当)を盗んで逃走」
ってのは、違うだろう。違うと思いますよ。
この子は「盗んで逃走」したのではなくて、
「盗んで、乗って、北海道に帰ろうとした」のでしょう。
いや、罪は変わらないよ。うん、罪は変わらない。どっちでも。
でも、とにかく、「逃走」したわけじゃないね。
絶対に違うね。
で、この子も、やっぱり職務質問されて、捕まっている。
警察官の眼光はバカにできない。
かなり見抜いている。
日本の治安は、まだまだだいじょうぶかもしれない。
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そういや、今日、自転車で走っていたら
橋のところに警察官が立っていて、
「こんちは、あっ! ちょっ!」
と声をかけられたのだけど、
あれはもしや職務質問だったのだろうか。
素通りしてしまったが。
で、えー、今日のブロッコリは長くなりましたが
簡潔に要点をまとめると、こういうことです。
「 自転車を横領したり窃盗したりしないでください!! 」
それが、さとう家からのメッセージ。
けっこう社会派です。