カラスが遊んでいる声が聞こえてきた。
一羽がアーアーアーと高い声で呼びかけると、
別の一羽がオゥオぅと低い声で応える遊びだった。
何度も繰り返しているので、あれは遊びだと思う。
カラスは遊べるほどに賢い。
そして強い。
われわれ人類は、犬や猫と親しみ、馬や牛の力を借りて
文明を発達させてきた。
しかし、いまだカラスとの建設的な関係を築くには至らない。
カラスの側からすれば、
人間社会という非効率なシステムから排出される
生ゴミという余剰物を食料にすることができるゆえ
人間は「便利のよい隣人」であるが
われわれ人類の側からすると
カラスは不気味であり、迷惑であり、怖くもあって、
「困った隣人」である。
隣人同士の関係とは、たいていそのようなものかもしれない。
共栄共存、いまどき語で言えばウィンウィン、のような
理想的な関係は得難いものだ。
さて、そこで、いいことを思いついた。
上に述べたようなカラスの特性を活かし、
カラスと人間がウィンウィンするための、ご提案である。
なにしろカラスは頭がよい。
ちょっと学んでもらえば、簡単な仕事くらいはできるようになる。
なるだろうと思うのだ。
だからカラスには、人間社会の内部に入って、働いてもらいたい。
具体的には、違法駐車の取り締まりなんて、どうだろう。
公道上に一定時間以上放置された自動車には
カラス警官が集まってきて、コツコツコツコツ車体をつつく。
これは、イヤだろう。
キップ切られるよりもイヤじゃないか?
違法駐車撲滅である。
カラス警官には報酬が与えられる。
生ゴミ処理施設への通行パスである。
カラス警官は生ゴミ食べ放題である。
ゴミ減量にも効果的である。
