1、アンチエイジング精神
はーちゃんは猫5歳、ヒト換算でおよそ45歳。
春には猫6歳になり、ヒト換算でおよそ50歳。
まあ、いい歳である。
いい歳ではあるのだが
小さくって、甘えっこで、遊んでばかりいて、
要するにかわいらしいものだから、
「はーちゃんは、おちびちゃん、子猫ちゃん、かわいこちゃん、
まるちゃん、まるまるちゃん、ねこちゃん、子猫ちゃん」
などといって日頃かわいがっている。
かわいがられて、はーちゃんもその気でいる。
その気でいるところに、ヨッコが意地悪をいう。
「はーちゃんはオバチャンだからな」
するとはーちゃんは、
キッと睨んで「ニャ」と抗議する。
これが実に厭そうな声で抗議をするので、たいしたものである。
「やだねえ、子猫ちゃんだよねえ」とフォローすると
鼻チュウをしてくれる。愛らしい。
「オバチャン」とヨッコがまた言うと、やはり抗議。
「子猫ちゃん」とまたフォローすると、やはり鼻チュウ。
何度でも繰り返す。
うちの猫は人語を解する、などと言えば、
バカにする人もいるだろうが、
言葉ではないにしても何かは伝わっているようである。
バカにしたい人はバカにしてもかまわない。
2、以心伝心とはいかないまでも
はーちゃんは猫でありながら人語を解すかのように
思われるときもあるのだが、
さすがに人語を話すのは難しいようで、
「ごはん」と「イヤ」くらいしか言えない。
そのほかのだいたいは「ニャア」で済ませるので
何の用件なのかいまひとつわからない場合がある。
なでてほしいのかと思ったら、トイレを片付けてほしかった、とか。
「ニャア」は誤解のもとである。
便秘気味でつらそうに見えたので
「よーし、おなかマッサージをしてあげよう」といって
だっこしておなかをなでていたら、
だっこを振りほどいて逃げていった。
逃げていって、また戻ってきて、猫草の鉢のまえに
ピタリっと座った。
猫草というのは、ほんとうは毛玉を吐き出す助けになるものなのだけど、
はーちゃんの場合はお通じの助けになっているらしい。
食物繊維と同じ理屈だろうかと思う。
その猫草が、枯れ果てていた。
枯れ果てた猫草の鉢のところで、ピタリっと座った。
それで、種から生やしていては時間がかかるので
ホームセンターの園芸コーナーから生えそろった猫草を買ってきた。
いつもなら食べても10本以内のところ、
その日は20本ほども続けて食べた。
そして、その晩には便秘解消。
つまり、はーちゃんは、こう言いたかったわけだ。
「マッサージしなくていいから、草ちょうだい!」
人語は話せなくとも、用件を伝えるすべはもっている。
言葉ではないにしても、ちゃんと伝わっているのである。
バカにするならバカにすれってんだべらぼうめ。
3、ヒーリングにゃんこ先生
はーちゃんはどちらかと言えばヨッコになついている。
無念ではあるが、これは認めざるを得ない。
そしてまた、ヨッコのまえでは私に甘えないようにしている節がある。
ヨッコが留守のときは膝にも乗るし、布団にも入る。
でも、ヨッコがいると、よそよそしい態度を取る。
どういう気持ちで態度を変えているのか理解しがたいが
とにかく裏表がある。
やけに疲れた日のこと。
悪天候で気が乗らないところを押して出かけたら
何をしても裏目に出て、ほとんど目的も達成できず、人混みに酔い、
昼食を食べに入った店でスープを飲んで回復したかと思いきや
隣のテーブルの愚痴ばかり言うオバチャンが発するネガティブな気にあてられ、
もう、ぐったりとして帰宅。
「はーちゃん、助けて・・・」といって
ばったり倒れていたら
うつぶせの腰のうえにはーちゃんが乗った。
休日の昼間、ヨッコが昼寝をしようと布団に入る、という
はーちゃんが大好きなシチュエーションを作ったうえで
ヨッコがはーちゃんに呼びかけても
「いま、仕事ちゅうですから」という顔で誘われない。
一度は降りても、ひとやすみして、また腰に乗る。
はーちゃんのほどよい体重が眠気を誘う。
うとうとうたたねして、目覚めると、
さっきまでの疲れも、重い気分も吹き飛んで、すっきり。
病気のときや、疲れているときや、滅入っているとき、
はーちゃんは優しい。
言葉にならないようなところで心が通じていることには
確信があるのだ。
バカっていうやつがバカなんだからなっ。