20080225

落語一年生日記(その1)

2008年2月5日 / 札幌市教育文化会館大ホール

「 立川談志・談春 親子会 」

  立川談春    「替わり目
  立川談志    「権兵衛狸
  (仲入)
  立川談春    「妾馬



落語を聞くのが初めてというわけではないけれど、
自分で金を払って聞くのは初めてだ。
身銭を切らないものは、つくづく残らない。
前に聞いた落語が
どんな話だったのか思い出せないのはまだしも
そのときの落語家が誰だったかさえも思い出せない。
修学旅行で行く奈良京都の神社仏閣に
ありがたみがなかったのと同じだ。

そういうことで、落語一年生である。
覚え書きを残しておこうと思うけれど
書けるのはせいぜい感想、印象くらいのもので
詳しい人からすれば的外れのこともあろうけれど
そんなことを気にするつもりもなく
好き勝手に書こうと思う。

まずは立川談春さんの印象。
いきなりどっぷりと抽象的な言い方になるが、
談春さんは
「 上手に炊けた白米 」
のようだと思った。
粒が立ち、つやつやと白く、
雑味がなくて、じんわりと甘い。

じゃあ、立川談志さんは?
同じように食べ物で例えるなら
談志さんは
「 原材料のわからない塩辛 」
なんて言うと、失礼か。
得体が知れない、口に入れるのが怖い、
でも食べるとくせになりそう、という。

そして、また、
この塩辛をのせた白米が、美味い。
談春さんの落語が終わったあと
着物も脱いで一杯ひっかけた談志さんが出てきて
ぐだぐだ喋っていたのだけど
自由気ままな談志さんと、
振り回されて苦笑いする談春さん、
こういう関係どっかで見たことがあると思ったけど
ああ、あれだ、
「 父・谷川俊太郎に翻弄される、子・谷川賢作 」
に通ずるものがある。

五月には談春さんの独演会がある。
塩辛の師匠がいないときには
今回たぶん遠慮がちだった談春さんがどんなふうになるのか
また聞きたいと思った。

談志さんは、塩辛より、ジャズみたいだったな。
体調悪そうで、声は出ないし、パワーもないけど、
奔放なインプロヴィゼーションが気持ちよい。
でも、考えてみたら、
落語は当然にジャズのようであるはずだ。
ジャズのように聞こえない落語は
ちょっとだめな落語かもしれない。