20080323

落語一年生日記(その3)

2008年3月21日 / 札幌市教育文化会館小ホール

「 林家正蔵 独演会 」

  林家たこ平   「転失気
  林家正蔵    「お菊の皿
  (仲入)
  林家正蔵    「しじみ売り



札幌で開かれる落語会なんて数は少ないのだから
片っ端から行ってみようと思っている。
2月は「談志・談春」、「木久翁・木久蔵」と見て、
たった2回なのに「天国と地獄」を味わってしまった。
落語が面白いのではない。
面白い落語があり、面白くない落語がある。

という、前回までのあらすじを踏まえて、正蔵さん。
元「こぶ平」だ。

テレビの「こぶ平」のイメージしかない。
そのイメージは、かんばしくない。
どちらかと言えば、いやな感じのイメージしかない。
しかし、また、
僕は「ついつい勉強しちゃうタイプ」なので、
落語一年生なりに予備知識を仕入れているものだから
「林家正蔵」がたいへんなビッグネームであることを知っている。

「こぶ平」のイメージと「正蔵」の名前があまりにかけ離れていて
期待してよいのかどうなのかわからない。
というわけで、なんとなくそわそわした気分で座席に座った。
今回は小ホール、落語にはよい広さだと思う。

結論から言えば、正蔵さんの落語は、
まっとうで、面白かった。
奇をてらうこともなく、騒ぎ立てるでもなく。
とても、まっとう。

落語が始まってみると、高座のうえには
テレビの「こぶ平」はいなかったし、
「正蔵」もいなくて、
そこには「ご隠居」や「親方」がいた。
テレビではちょっとイヤな感じの「こぶ平」のはずなのに
『しじみ売り』の「親方」なんて
かっこよく見えちゃうくらい。

また、正蔵さんは、顔がいい。
顔が見事だと思う。
不思議なのだけど、
能面に表情を見て取るのと同じような感じで
正蔵さんの顔が年寄りに見えたり、子どもに見えたりする。
声音だけじゃなくて、顔が変わる。

また見たいと思える高座だった。
落語一年生のくせに(いや、だからこそ)
いつもわかったようなことを言ってしまうけど
正蔵さんはまだまだよくなるように思う。
もっと歳をとった正蔵さんを見てみたい。
今回、高座に「こぶ平」がいなくてホッとしたけど
もうちょっと「正蔵」が現れてくると深みが増すように思う。

そうそう、最後に降りてきた幕を上げさせて
正蔵さんはひとこと挨拶をして、
それから急に

「 夢があります 」

と言い出したので、びっくりした。
『芝浜』の稽古をしていると言う。
自分の『芝浜』を演りたいと思っていると言う。
いつか聞いてくださいと言って、下がっていった。
いつか聞いてみたいと思った。

*

前回、右隣の席に通っぽいおじさんが座っていて
まったく拍手をしない人だったのだけど、
今回、右隣の席には公衆便所の臭いのする兄さんが座っていて
これまた拍手をしない人だった。
演劇や、ダンスや、コンサート、あるいは映画でもいいけど、
こんなに客が気になることはないように思う。
落語会、客層が特殊なのかな。