TOUR DE FRANCE 2008
ETAPE02:「逃げ」の一部始終、スプリントに用はなし。
「逃げ」は、けっして偶然にはできることはない。
「逃げ」は、意志と勇気と覚悟をもって「集団」から飛び出していくことからしか生まれず、そして、意志と勇気と覚悟を持ち続けることでしか保てない。メンバーの誰かの胸中に諦めが生じたとき、その「逃げ」の命運は尽きる。もっとも、諦めなかったからといって、うまく運ぶとは限らないが。
いつも、テレビ中継が始まったときにはもう誰かが逃げている。「逃げ」は、いつもすでにできあがっていて、どうせそのうち捕まるもの、ということになってしまう。ツール・ド・フランスだけは放送時間が長いので、逃げの形成プロセスを見られるのが嬉しい。形成から吸収までを見てこそ、「逃げ」はひとつの物語になる。第2ステージの物語は、こんなふうだった。
なかなかよいメンバーの揃った10人の「逃げ」に、うちの[28]チュルカも乗ったが、すぐやめた。ウェーグマン(ドイツチャンピオン)、シャバネル(兄のほう)、フィッシャー(珍しいブラジル人)の3人だけが残った。しかし、トマ・ヴォクレーの山岳ジャージを守りたい《ブイグテレコム》が集団を牽いて、3人を吸収し、リセット、そしてまたすぐ、「逃げ」を再構築。新たに決まったのは、前の「逃げ」を潰したトマ・ヴォクレーと、前の「逃げ」にも乗っていた兄シャバネルの、2人逃げ。だいぶ経ってから、ようやく意を決したかのように《アグリチュベル》のモローとルレイが集団から出ていって、さんざん追いかけて「逃げ」に合流、4人逃げになった。
どうしてもどうしても逃げたい兄シャバネル、一方、集団前方にはジルベールのために牽きまくる弟シャバネルの姿が見えたりもして、「逃げる兄VS追う弟」の構図には心ときめくものがあった。
最終的に、ゴール目前にして兄シャバネルたちの「逃げ」は捕まり、集団スプリントにもつれこんだ。さて、我らが《エウスカルテル》に、スプリンターはいるのだろうか? 思い浮かばない。スプリントする集団のなか、右にひとつ、左にひとつ、オレンジ色が見え隠れしている。一応、誰か2人、スプリントに参加している。リザルトから判断して、アスタルロサとサンチェスだったようだ。アスタルロサが15位、サンチェスが16位。まあ、スプリントで勝ちを狙えるチームではないということだろう。次の第3ステージも全員無事に走り切れば、それでよし。
ちなみにサンチェスの次、17位はマキュアンだった。がんばってください。
◆第2ステージリザルト(区間順位、総合順位[タイム差]、年齢(干支))
21 スベルディア……58位……40位↑[+0.07]……31歳(巳)
22 アスタルロサ……15位……19位↑[+0.07]……28歳(未)
23 イサシ……………42位…101位↑[+2.00]……31歳(巳)
24 マルティネス…116位……44位↓[+0.07]……30歳(午)
25 オロス……………66位…106位↑[+2.00]……27歳(申)7/11誕生日!
26 ペレス……………91位……89位↑[+1.12]……26歳(酉)
27 サンチェス………16位……16位↑[+0.07]……30歳(午)
28 チュルカ…………79位……74位→[+0.39]……25歳(戌)
29 ベルドゥーゴ……80位……53位↓[+0.18]……29歳(午)