自転車映画の紹介である。
『サイドカーに犬』である。
のっけから自転車映画であると決めつけた。
そこは譲らない。
これは自転車映画だ。
サイドカーの映画に見せかけて、実のところは自転車の映画だ。
主演の竹内結子ちゃんは自転車に乗って登場する。
長嶋有の原作の小説『サイドカーに犬』では
《銀色の大きな自転車》
《ドロップハンドルの高価そうな車体》
《あまり女の人が乗っているのをみたことはないような、
スポーツタイプのデザイン》
とされている。
映画では、クロモリのホリゾンタル・フレームのロードレーサーだ。
カラーリングは銀色ではなく、きれいな緑色。
クレジットには、「自転車技術指導 森幸春」とあった。
元日本チャンピオンの指導、たいへんなことである。
夏休みである。
もうひとりの主人公、小学4年生の少女は、自転車に乗れない。
でも乗れるようになる。
「自転車に乗れた日」ーーーそれは誰にだって特別な日だ。
他にも、ママチャリや、アイスキャンディー売りの自転車も出てくる。
エンディング曲は、なんか知らない女の子だけど
劇中挿入歌はRCサクセションの地味な名曲「いいことばかりはありゃしない」である。
♪金が、欲しくて、働いて・・・眠るだけ・・・
原作小説にもRCサクセションが出てくるけど、曲の指定はない。
よい選曲である。
原作にRCサクセションが登場するのは偶然ではない。
当然ながら、忌野清志郎をロック界随一の自転車乗りと心得てこそのことである。
思わず、こう言いたくなる。
いやあ、自転車って、ほんっとうにいいものですねっ!