20070917

ちいさな旅の一日:1:オロフレ峠を越えてゆけ(前編)


(photo : ゆうすけ/gl(ジーエル)


9月16日日曜日、朝から晩まで遊び尽くした日のこと。
めぐりあわせもよくて、とても楽しかった。
長くなりそうなので、何度かに分けて書きます。



今年のツール・ド・北海道はオタルを出発して日本海側を周り
後志の町々を抜けて、羊蹄山や洞爺湖を巡り、胆振へ入った。
3日目のダテで日本チャンピオン・アラシロが総合リーダージャージを獲得し、
いやがおうにも期待の高まるなか迎えた4日目、ムロラン〜サッポロのステージ。
僕たちが観戦ポイントに選んだのは、山岳ポイントであり、
今大会の標高最高地点でもある、オロフレ峠。

さとう家の起床は4時45分。
窓の外はまだ暗く、朝というより深夜の雰囲気。
はーちゃんも起きてきたけど、いつもと違う様子をいぶかしく思っているみたい。
タイマー式お弁当が置かれると、お留守番だと気づき、不機嫌な顔をしていた。
でも今日中に帰ってくるからね、と言い聞かせて、出発。

交通費の節約のため、普通列車にしか乗れない「1日散歩きっぷ」を買う。
日帰り往復なら、普通のきっぷの半分くらいの値段になる。
6時12分の列車に乗る。

よっこは、実は鉄道好きである。と自分で言っている。
いわゆる「鉄」だ。
「鉄」にはいろいろあって、
乗るのが好きな「乗り鉄」、撮るのが好きな「撮り鉄」などあるらしい。
よっこは「寝鉄」だ。
いつも列車に乗るとすぐに寝てしまう。
でも列車が好きらしい。

ちなみに僕は「客鉄」だ。
客を見るのが好き。
客は、快速や特急より、普通列車が面白い。
今回の最大のヒットは、
なぜか始発電車にひとりで乗っている小学生の女の子。
てのひらに傷があるらしく、いっしょうけんめいテーピングを巻こうとするのだけど
これが、もう、絶望的に、不器用なのだ。
はさみを使ってもテープを切れないし、巻こうとするとテープはくちゃくちゃになる。
それでも彼女はいろいろ工夫しながら、おそらく無意味なテーピングを完成させた。

テーピングが巻き上がったあたりで、ノボリベツに到着。8時38分。
車で迎えにきてくれた「 gl(ジーエル) 」のふたり、ゆうすけ&さとみちゃんと合流。

これから選手たちが走ってくるレースコースを辿りながら、
観戦ポイントを定めるべくオロフレ峠へ向けて山を登っていく。
現地を通ってみて、改めて、選手はすごいと思う。
えんえんと続く、きつい坂道。
レースでは速さを競うわけだけど、スピードの問題ではなく、
この山を自転車で登ること自体が、想像を超えている。
テレビで観たアルプスやピレネーの峠なんて、
実際にそこで観たら、いったいどんなふうなんだろう。
いつか、いつか、観てみたい。

さて、ちいさな旅の一行は、雲のかかったオロフレ峠を登る。
やがてその雲のなかに突入、霧がかって視界が悪くなっていく。

まだオロフレ峠に到着しないけど、「2につづく」!