20070922

ちいさな旅の一日:5:ヘミングウェイは牛が好き

温泉に入って身体が温まったところで、
時間は昼にかかり、おなかがすいてきた。
白老の名産といえば・・・たらこ?
でも、ちょっと、たらこという気分でもない。
いや、しかし、たらこという気分とは、どんなものか。

白老の名産といえば、白老牛である。
白老の食肉牛の生産は、昭和29年に導入された島根牛44頭に始まる。
和牛の導入は北海道で初めてのことだった。

アイヌ語で牛を「ペイコッ」と言う。
東北地方では「ベコ」と言う。
ここに関係はあるのだろうか。
スペインでは「バカ」と言う。

ブエルタ・ア・エスパーニャのテレビ中継では
山などに立つ「黒い牛のシルエットの巨大な看板」が目につく。
高さ14メートルもある看板が、スペインじゅうに90個もあると言う。
シェリー酒やブランデーを作るオズボーン社の広告なのだけど
法律の規制で社名を外した単なるシルエットの看板になったそうだ。

東北の「ベコ」にはのんびりしたイメージがあるが
スペインの「バカ」になると凶暴なイメージに変わる。
赤い布を振るマタドールに襲いかかる闘牛。
「サン・フェルミン祭」の牛追いで街路を駆ける牛。
アーネスト・ヘミングウェイは「バカ」の祭りに魅了されて
「日はまた昇る」を書いた。

「サン・フェルミン祭」が開催されるパンプローナはナバラ州の州都で、
ナバラ州は中世ナバラ王国に由来する自治州である。
古くはバスク人の勢力圏であったが、バスク語は現在では大きく後退し、
ナバラ州のなかでもピレネー山脈沿いの地域でだけ話されている。

ツール・ド・フランスでも、ブエルタ・ア・エスパーニャでも、
レースがピレネー山脈にさしかかると
熱狂的な応援をみせるオレンジ色の人々が目につくようになる。
バスク人(とバスク在住者)だけで構成されたプロツールチーム、
エウスカルテル・エウスカディの応援だ。
オレンジ色は、そのチームカラーである。
バスク地方はスペインのなかでも自転車競技が盛んで
特に山岳に強い選手を多く輩出している。
エウスカルテル・エウスカディの選手たちにとって
ピレネー山脈のステージで活躍することは、使命である。
その使命はなかなか果たされずにいるが・・・

バスクの話は、次回にまた書く。
今はとりあえず、昼食のために白老牛にもどる。

白老牛、食べたことはないが、おいしいのだろう。たぶん。
おいしいだろうけど、昼食にするには敷居が高い。
いや、敷居というか、まあ、ちょっと値段が高い。カロリーも。
もうちょっと気軽に、手軽に、お手頃に食べたい。

というふうに思う層を狙ったのだろう。
狙われてしまった。
この夏、白老観光協会が仕掛けた「白老B&B(バーガー&ベーグル)」
白老牛をはじめとする白老産の食材を
気軽なサンド形式で提供しようという取り組みで
研究会での商品開発を経て
なんか、もう、喫茶店でも居酒屋でもラーメン屋でも
白老町の飲食店ごとに異なるバーガーまたはベーグルサンドを
販売している。



(photo : ゆうすけ/gl(ジーエル)


10店が参加、11種類のバーガーが売られている。
僕たちは2店に行って、3種類を食べた。
あえて、どこがどうだったとは書かないことにしよう。
ただ、簡潔に、こう言っておこう。
「 アタリ・ハズレはあるぞ 」、と。
でも、また機会があれば、他も試してみたいと思った。

まだまだ終わりません。
「6につづく」!