はーちゃんが我が家にきて3周年を記念し
この3年間のはーちゃんにまつわる思い出を
カウントダウン形式で振り返ろうという企画です。
はーちゃんにはトイレ絡みの問題が多々あるが
粗相ということでいうとたった一度しかない。
そのことはまた後日書くことになるが
今回はトイレに関する諸々のエピソードを紹介したい。
はーちゃんが来た当初のこと。
連れてこられた猫も緊張していたが
迎え入れる人間たちも緊張していた。
はーちゃんはトイレを花嫁道具にもってきた。
トイレの場所がわからないと困るだろうと
我々はトイレを居間の入り口あたりに置いた。
もちろん親切のつもりだったが、
今にして思えば、考えうるトイレ設置場所のなかでも
最悪といってよい選択だった。
家のなかのどまんなかで、明るく、遮るものもない。
人間スケールで考えてみれば、体育館のまんなかのような
救いがたく開放的な場所だ。
でも、はーちゃんは我慢した。
我慢して、見知らぬ家の開放的なトイレで用を足した。
立派な猫である。
なかなか猫の気持ちをくみきれなかった人間たちも
どうもトイレの何かが気に入らないようであることは
感じ取っていた。
そこで、思いきって新しいトイレを買ってみた。
小型でオマル式であるため
猫砂が少なくてもよいというふれこみのトイレだった。
よかれと思って選んだつもりだったが
省スペースであり経済的というのは
よく考えてみると人間側の都合でしかなかった。
このトイレは不評だった。
なにしろはーちゃんは、めいっぱい砂を掻かなければ
気が済まない猫だったのだ。
省スペースで猫砂の少ないトイレは
はーちゃんの野性を満足させられなかった。
しかも、小さすぎて、トイレの縁がおしりにささっていた。
でも、はーちゃんは我慢した。
我慢して、砂掻きも妥協し、小さすぎるトイレで用を足した。
立派な猫である。
はーちゃんのトイレ問題は紆余曲折ありながらも
やがて、適切なサイズのトイレに替え、
人目を避けられる場所に移し、
最適解が導きだされた。
もう、はーちゃんは我慢しなくてもよい。
好きなだけ、気が済むだけ、
砂を掘り、砂を掻くことができる。
砂掻きするはーちゃんの姿は、たいそうかわいい。
トイレの縁に後足を掛け、頭を深くつっこみ、
ざっくざっくと生真面目な様子で砂を掘る。
不安定な足場に立って、お尻を突き上げたような格好だ。
これが、もう、実にかわいい。
いつまで見ていても見飽きないほどかわいい。
トイレから出てくるときに、トイレの縁に前足をこすって
足についた砂を落とす仕草もかわいらしい。
しかし、はーちゃんは
私にトイレを覗かれることを嫌う。
こっそり覗いていたのがばれるとひどく怒り
ウニャウと罵倒して駆け出していき
しばらく口をきいてくれなくなる。
ヨッコは近づいてもオーケーなのに
私は離れて見ているだけでもエヌジーなのだ。
どういうわけだ。
残念なことである。
はーちゃんは用を足すと、ニャアと呼びにくる。
片づけてほしい、というのだ。
すぐに、一刻も早く、ほら、片付けてほしい、というのだ。
ウンチは特に、早急な処理を求められる。
片づかなければ、次の用を足しにいかれない。
もう、ほんとうに、片づいていないトイレでは
絶対に用を足さないのだ。
そのへんは潔癖だ。
片づけると、すぐにチェックにいく。
せっかくならしておいた砂を掻きまわし、
ちゃんと片づいたか確認する。
不備があればクレームが入る。
潔癖にもほどがある。
余談だが、我が家の人間たちは
トイレのドアをガチャンと閉めず
ふわっと閉めるのがならわしになっている。
人間の家族が人間のトイレに入ると
はーちゃんがドアを開けにくるからだ。
トイレのドアをカリカリカリカリ引っ掻いてドアを開け、
なかを覗いたり、なかまで入ってきたりする。
そんなはーちゃんを見たいがために
我が家のトイレは今日も半開きだ。