20080511

ジロ読み(1°Tappa):TTTを制すチームがジロを制す、かな?

“ジロ・デ・イタリア”、イタリア一周3週間の旅が始まる。

初日、チームタイムトライアル(TTT)。
チームごと9人同時にスタートし、隊列を組んで先頭交代を繰り返しながら走り、
5人目の選手のタイムをチーム成績とする。
通常のロードレースではチーム総合力は結果論としてしか見えにくいが
TTTではあからさまにチーム力が結果に反映される。

ジロでのTTTは、06年大会第5ステージで「17年ぶりに復活」。
06年大会のTTTステージ優勝は《CSC》、
そして同年の総合優勝は当時《CSC》のエースだったイヴァン・バッソ。
07年大会では今年と同じく第1ステージにTTTがあり、勝ったのは《リクイガス》。
エースのダニーロ・ディルーカを先着させる「お約束」を破って先頭ゴールした
エンリーコ・ガスパロットが初日のリーダージャージ“マリア・ローザ”を獲得、
ガスパロットを怒鳴りつけながら必死に追いかけるディルーカの顔は
1年経ってもありありと思い出せる。
そんな笑いを誘う波乱もありつつ、07年の総合優勝はディルーカ。

そう、つまり、過去2年の傾向あるいはジンクスとして、こう言えるだろう。
「TTTを制すチームがジロを制す」と。

3か国(イギリス、アメリカ、カナダ)のTTナショナルチャンピオンを含む
強力なTTスペシャリストたちを擁する《スリップストリーム》。
選手の実力差が大きいせいだろう、ローテーションは美しくない。
遅いチームメイトを置き去りにしながら、ごりごりと走る。
ゴール直前、限界まで先頭を牽いたと見えて
イギリスTTチャンピオンのデイヴィッド・ミラーが千切れ、
必要最低限の5人になってゴール。

TTTには定評のある《CSC》が迫るが、6秒差で届かない。
この6秒、チームプレイに徹したミラーの走りが生んだ6秒か。
それともザブリスキー、ヴァンデヴェルデの
《CSC》から《スリップストリーム》への移籍が生んだ6秒か。
TT世界チャンピオン、カンチェラーラが来ていれば6秒は詰められたか。
とにかく、その6秒で《スリップストリーム》が初日ステージ優勝、
クリスティアン・ヴァンデヴェルデが“マリア・ローザ”を獲得。
《スリップストリーム》としては、TTT勝利でジロの成果としては上々、
すでに「成功」と言えるだろう。

現時点で、ヴァンデヴェルデから、主要な優勝候補までの時間差。

 07年ジロ勝者、《LPR》ディルーカまで、28秒。
 07年ツール勝者、《アスタナ》コンタドールまで、29秒。
 01、03年ジロ勝者、《チェッラメンティ》シモーニまで、51秒。
 07年新人賞2位、《サウニエルデュバル》リッコまで、1分2秒。
 07年ブエルタ勝者、《ラボバンク》メンショフまで、1分4秒

現時点ではTTTのタイム差が、そのまま総合順位のアドバンテージになる。
《スリップストリーム》の「TTTを制すチームがジロを制す」の実現は厳しいだろうか。
どこまで“マリア・ローザ”をキープできるか期待したい。