3日目、6人の“逃げ”に《ティンコフ》のブルが入った。
07年ジロで、最終的に強い印象を残したのは
逃げるブルがなびかせていた後ろ髪、
逃げるイグナチェフが深い前傾姿勢で突き上げた尻、
とにかく毎日逃げる《ティンコフ》ではなかったか。
どうせ集団スプリントになるステージ、
“逃げ”の勝ち目なんてほとんどないのだけど、
《ティンコフ》が逃げないことには、盛り上がらない。
さて、数少ないスプリントステージ。
ペタッキを欠くなか、
集団スプリントの主役になるスプリンターは
マキュアン、ベンナーティ、カヴェンディッシュ、
ツァベル、ディーン、オグレディあたりかな。
僕が密かに期待しているスプリンターは
《ティンコフ》のアルベルト・ロッドと
《チェッラメンティ》のダニーロ・ホンド。
ロッドやホンドを実力のマーカーにして、
日本人のジロ勝利までの距離を測りたい。
2月の“ツール・ド・ランカウイ”で
ロッドとホンドはそれぞれ1勝ずつしている。
ホンドが勝った第4ステージでは、ロッドが9位、
《メイタンGDR》宮沢崇史が6位。
ロッドが勝った第5ステージでは、ホンドは22位、
宮沢が4位、清水都貴が8位。
第7ステージでは、ゴール前でロッドとホンドが落車した。
《ナヴィガーレ》リチェーゼが斜行して、ロッドに接触。
ホンドがバランスを崩して、ロッドとともに落車。
そうこうしているうちに《AG2R》ウソフが優勝、宮沢は3位。
このへん、みんなジロに来ている。
と思いきや、おっと、リチェーゼは開幕直前に
4月のレースでのドーピング陽性反応が発覚、出走キャンセルだった。
ロッドやホンドと渡り合えるのだから、宮沢がジロにいても、戦える。
ロッドやホンドが、ジロのスプリントで上位に食い込んでくるならば、
「もしプロトンに宮沢がいたら、どのへんか」と妄想したくなる。
妄想を華やかにするためにも、ロッドとホンドにはがんばってほしい。
ゴール前、激しい位置取り、もがき、
《ティンコフ》の黄色が前線に残っている。
《チェッラメンティ》の青が上がってくる。
行け行け!
ツァベルを寄せつけず、ベンナーティが優勝。強い。
でも、ホンドが3位!ロッドは5位!いいじゃない。
宮沢がいたら4位だったかもしれないよ、なんて。
*
アルベルト・ロッド。
07年は《チェッラメンティ》で走っていた。
07年の“ツール・ド・ランカウイ”では10ステージのうち
5ステージで勝った。憎らしいほど強かった。
08年、《ティンコフ》に移籍。
1月にはスプリンターのためのステージレース“ツアー・オブ・カタール”で
王者ボーネン相手にスプリント1勝を上げている。
07年ジロにはチームが招待されず出場していないが、
06年ジロではスプリント7位、3位、8位と、
ビッグスプリンターに互して勝負に絡んでいる。
あとはジロの区間優勝が欲しいところ。
ダニーロ・ホンド。
04年から《ゲロルシュタイナー》のエースとして走り、
ジロでもステージ2勝する活躍していたが
05年にドーピング陽性反応があり、チーム解雇。
2年間の出場停止処分を受け、もう引退だろうとも言われたが
07年は《ティンコフ》で復帰、しかし目立った戦績はなかった。
08年、《チェッラメンティ》に移籍。
《ティンコフ》と《チェッラメンティ》はロッドとホンドをトレードしたのか?
“ランカウイ”の1勝は復活宣言、やはりジロの区間優勝が欲しいところ。